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「テマリ」
 とカンクロウが呼んだ。
 私たちは幼いころから、兄弟であるにも関わらずお互いを名前で呼ぶ。
 それを不思議に思ったのは、学校に通うようになってからだ。
 もっともそう思ったところで、これからも弟に姉さんと代名詞で呼ばれることはないだろう。
「見張りは?」
 テマリが訊ねる。
「俺がちゃんと全員眠らせたじゃん?」
「今のは念の為の確認だ」
 たしかめると確かに全員気を失っていた。
 しかし十に満たない子供が簡単にこう突破できていいものだろうか。
 このあたりは誰もやりたがらないせいで、中忍になりたてばかりの者に押し付けられているとはいえ。
 テマリは砂の忍びの質を本気で心配した。
 こっそりとある建物に忍び込む。
 それは二人にとっての末の弟がいるはずだった。
 最後のドアをこっそりと開ける。
 それでも隠し切れない軋む音はチャクラで相殺して、静寂を守る。
 簡素な部屋。
 小さめの子供用のベッドの上に我愛羅がいた。
 うん、よく眠ってるみたいだ。
 唇の動きだけでそうテマリは伝える。
 あのチヨバアから薬術習った甲斐があったな、とカンクロウは口だけ笑った。
 今日は一月の十九日だった。
 我愛羅の誕生日である。
 弟の為のプレゼント。
 それは不恰好なくまのぬいぐるみだった。
 それを置いてすぐに二人は部屋を抜け出した。
 眠っているとはいえ、守鶴は怖かったのだ。
 それに自分達の力を過信してもいなかった。
 すぐに退散しなければ、自分達のしたことはバレてしまうだろう。

 二人の気配が感じられなくなったころ我愛羅はむくりと上半身を起こした。
 眠ったフリ、それは弟なりの気遣いだったのだろう。
 我愛羅はまくらもとにあるプレゼントをみて、手に取った。
 そしてそれをぎゅっと抱きしめた。

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