足をやられた。
多分それはみんな知っている。
だからといって、動きの鈍ったテマリを助けてくれるお人よしはいない。
仮にも暗部なのだ。
しかたがないので幻術で痛みをごまかす。
痛みはないが、思うように力が入らなくてスピードが落ちている。
それでも必死になって彼らについていく。
暗部の一人がこちらをみた。
隠された顔の隙間から鋭い目がこちらをにらみつける。
『……足手まといが』
もう一人にそういったのが聞こえる。
テマリは思わず苦笑する。ずいぶんと地獄耳じゃないか。
目的地にたどり着くと、すでにそこは戦場だった。
なにをしたらいいか分からずに、テマリは敵の忍の攻撃を交わす。
それだけで精一杯だ。
名前を呼ばれる。
暗部名のそれは一瞬自分のことだとは分からなくて、でもすぐに思い当たりテマリは振り向く。
死体を担いだ、夜叉丸の姿だ。
テマリは彼にかけよる。
「ついてこれるね?」
無言で頷くと、その場から離れるように走り出した。
夜叉丸は結界を張る。
そして幻術を組み合わせて自分達の姿を周りと同化させる。
夜叉丸が担いだ死体は砂の暗部だった。
目を見開き、ひどい形相のまま死後硬直を起こし始めている。
夜叉丸は鈍い色をしたクナイをテマリに手渡した。
「始めなさい」
テマリはそれを受け取る。
そして教えられた通りに処理を始めた。
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