何回目かの暗部での任務だった。
実際には下忍にもまだなってないテマリはDやCランクも経験したことはない。
それなのに与えられる任務は上忍以上のレベルを求められた。
これも風影の娘としての、修行の一環なのだろう。
冷たい雨が降っている。
ザーと体に打ち付ける音は一定で、耳がおかしくなっている。雨音以外の音が、気配を消していた。
死ぬことは不思議と怖くない。
命の奪い合いがまわりで起きているせいなのか、私の心は麻痺をしてしまったようになにも感じない。
ただ痛いのはやっぱり嫌だった。
死ぬときは一瞬がいい。
そう思っていたのに。
テマリは横に倒れている。
血は止まったようだけれど、動こうとすると体中が軋みをあげる。
だから仕方なく倒れたままでいるのだけれど、雨はテマリの体温を容赦なく奪っていく。
それでも動く気にはなれなくて、テマリはまぶたの上を腕で拭った。
そしてそのまま気を失う。
痛みのない世界へと潜り込む。
ザーと雨の音が聞こえている。
レクイエムにしては煩すぎやしないかい?
もう、どうでもいいけれど。
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