忍者ブログ
[64][63][62][61][60][59][58][57][55]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 木の上にナルトとテマリがいた。
 ナルトはというと、今日は暇つぶし用の本を持ってきていた。
 テマリが来たのは丁度二冊目を読み始めたころで、いまはもう半分ほどまで進んでいる。
 彼女も真似て、その本の前編のほうを読み始めた。こちらはまだ十数ページしか進んではいない。
 ナルトの影分身はどこか遠くへ行ったようで、うるさく思っていた喧騒は聞こえなくなった。
 二人は他愛もない会話を交わす。
 そこにいくつかドキリとさせられるような情報を混ぜるのは、彼女のイタズラ心なのだろうか。
「好きな人?」
 ナルトが驚いてテマリに返す。
「私にいたら悪いかい?」
「いや構わないけど」
 そう呟くと、本に視線を戻す。
 その本は国の外の言葉で書かれた書物だ。
 辞書がなくとも読めることは読める。
 しかしもうすでに集中できる状態ではない。
 ナルトはあっさり読むのを諦めて、本に栞を挟んで閉じた。
「なんか想像できないな。テマリが誰かを気に入るなんて珍しいんじゃないか」
「よくそこまで私のことを理解しているといいきれるものだ」
 くくっと笑うとテマリは本に視線を戻す。
 ナルトは少しだけ迷った末。
「誰?」
「死んだよ」
 間を挟まずに答える。
 まるで聞くことが分かっていて、用意していたようなセリフだった。
「聞きたい?」
 そうテマリが言うので、ナルトはしぶしぶ頷いた。
 テマリば微笑をたたえながら。
「なんでうずまきナルトに教えないといけない?」
 なんて、意地悪をいってみせる。
 ナルトはじゃあ聞くなってばよと言いながら。
「好きな女の理想くらい知っておきたいだろ」
 そう言った。真顔なのはきっと強がりだ。
 テマリは満足したように、そしてなにかを思い出すかのように目を閉じた。
「そうだな。なにから話そうか」
PR
COMMENT
COMMENT FORM
TITLE

NAME

MAIL

URL

COMMENT

PASS
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TRACKBACK
TRACKBACK ADDRESS
忍者ブログ | [PR]

Skin by TABLE ENOCH
最新コメント
[09/28 torina]
[09/26 空空汐]
ブログ内検索