テマリはナルトをじっと見つめていた。
「なに、俺の顔になんかついてる?」
「あんたの顔に興味があるんだ」
冗談で言ってみたはずの言葉は本気とも冗談ともとれないような声で返される。
少し戸惑った瞬間、テマリはにやりと笑ってようやくそれが彼女なりの冗談なのだと知った。
「四代目に似ているな」
そうテマリが呟く。
「見た事あるのか?」
「我愛羅が生まれる前だからほとんど覚えてないが」
「覚えているだけですごいってばよ」
「その年齢で既に世界を斜めに見ていたお前が言うセリフじゃないな」
「俺の場合は特別。被害者はいつだって加害者より恨みがましくそういうことを忘れないもんだ。で、第一印象は?」
子供じみた、期待しているような声でナルトは訊ねる。
もちろんそれは作られたものなのだが。
「一番古い記憶の一つだな」
テマリは思い出をなぞるように、小さな声で呟いた。
「一言で言うなら晴れかな。空のような青の目に太陽のような金髪」
ナルトは少しだけきょとんとした顔をしている。
こちらは演技ではなさそうだ。
「そんなたとえ初めてだ。みんな例の狐色って呼んでいる」
「その金髪は英雄である四代目譲りだろう?」
「そんなの知らないってばよ。十二年前から俺の金髪は忌み嫌われてる。見つけやすいからいいって意見もあるみたいだけれど……」
テマリはくくっと笑った。
「目はともかくその髪は私と同じ色なんだ。そう嫌がるな」
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