「いるかせんせー」
少年は真新しい額あてを気にしながら、アカデミーまでの道のりを歩く。
「ん?」
「俺、もうわかったから」
イルカが隣を見て、驚く。
いつもの笑顔ではない、無理やりつくったような表情。
「認めてくれるわけないってばよ」
そんなことない、と言おうとする前に。
「大丈夫。一人でも認めてくれたから」
それじゃあとナルトはわらっていつもの笑顔にかわった。
去り行く彼を前に、イルカはもう一度だけ夢を訊ねた。
「なに言ってんの。火影に決まってるってばよ」
そして手を大きくふる。
いつものナルトだった。それを見て安心する。
ナルトを見送りながら、今日のことをイルカは深く考えずにいた。
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