ざあっと砂が舞う。
「いいかげんにしろってばよ」
まるで小さい子をたしなめるような口調だった。
子供扱いされたのは久しぶりで、我愛羅は目を見開いた。
あたりは半壊しており、それが自分がやったのだと気がつくのにしばらくかかった。
「お姉ちゃんとお兄ちゃんの言うことは聞かないと駄目だってば」
そうナルトは言う。
よく見たら、結界のように我愛羅を取り囲んでいるのは封印式だ。
それはチャクラで彼の印とつながっている。
同じくらいの年齢の少年が。
我愛羅には自分の力の制御なんてできないので、純粋にナルトのことをおどろいた。
遠くに横になっている自分の兄弟の姿が見えた。
「っ!」
名前を呼ぼうとする。が、声がでない。
くやしくて、涙がでそうになる。
だけど泣きつかれた体からは液体なんてもちろんでない。
我愛羅は衝動的にクナイを自分の腕に突きつけた。
それは砂の鎧が自動的に守ってくれる。
その様子を諦観していたナルトは笑う。
「死にたきゃ死ねよ」
「うずまき!」
後ろでテマリが叫ぶ。
「それ以上言ったら許さない!」
うるさそうに、でも聞こえないフリをした。
「……どうせ死んだら後悔なんてできないんだから」
ささやくような、甘美な誘惑。
「俺なら今のお前を殺せる。どっちの言うことを聞く?」
我愛羅はまだ選択をできてない。
いままで死にたくても死ねなかった少年が、
いきなり死の選択をせまられて、それでも死を選べるかどうかという話。PR