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 子猫のように首根っこを掴まれる。
 ぐえ、とカエルの鳴くような声がでて、ナルトは咳き込んだ。
「だあー! なにするんだってばよ!」
「ちょうどよかったー」
 といのは言う。
「なにがだってばよ!」
 周りが好奇心の視線を向けてくる。
 心の中でナルトは焦った。
 俺とかかわってはいけない。
 だがナルトはここまでやられてもなにも返せない、という性格ではないのだ。
 みんなが知っているナルトは。
 どうやってこの場を切り抜けるか考えているうちに、いのはにたりと笑う。
「はい、これ」
 そういって渡されたのはチョコレート。
 思わず絶句して、それでもなんとか術をよんだ。

 いのが気がつくと、あたりはいつもの風景だった。
 ただいつのまにか握り締めていた右手に、メモが残されていた。
『後で話がしたい』
「……バーカ」
 そう呟くと、いのはこちらに向かって歩いてくるチョウジの姿を見つけた。
「なにしてるの?」
「あ、チョウジ。ちょうどよかったー」
 同じセリフでチョウジにチョコレートを渡す。
「え? いいの?」
「いーのよ。どうせ好きなやつだけに渡せなくて全員にくばってんだから」
 そういって差し出された奴は、少し無骨な形をしたチョコレートだ。
 どう贔屓目にみても失敗作だ。
 それでも手作りをもらえるのはチョウジかシカマルか――例の好きなやつくらいなものだ。
「へえーさっきの包みより大きいんだ」
「だって形が変になったチョコレート喜んでうけとってくれるのチョウジだけだもん。それにきれいで少ないよりはそっちのほうがチョウジも――」
 そこで奇妙な違和感に気がつく。
「あれ? みてたの?」
「みてたよ」
 いのは笑いをこらえきれなくなる。
 やーい、記憶操作失敗してやんの。

バレンタインネタ。

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