お互いに、相手のことに気がついた。
めんどくさい、と思いながら、シカマルは周りの人間の気配を数えてみる。
二、四、六……七人。
目につく人の数と一致した。
しかも忍びはその中に含まれていない。
めずらしくナルトは誰にもつけられてないらしい。
少しだけ安心して、そのまま前に歩く。
ナルトもこちらへ歩いてくる。
視線も合わせずにすれ違う。
「おい」
シカマルがナルトの腕を掴む。
今のナルトはオレンジのジャージを羽織っておらず、黒い半そでの姿だ。
「なんだってばよ」
「なんのつもりだ?」
シカマルは掴んだ手とは反対の手を指さした。
半そででほとんどが隠れてはいるが、まぎれもなく暗部の印が刻まれている。
ナルトは確認しようともせずに言う。
「ああ、忘れていたよ」
シカマルは自分の手でその印を隠すように触れる。
手の平が離れたときはもうそこになんの痕跡もなかった。
「おーサンキュ」
「ナルト」
「それにしてもお前術うまくなったなー。印を結ばなくてもできるようになったんだ?」
明るく笑う彼を見て、シカマルは頭が痛くなった。
「お前、見られてもいいって思ってないか?」
「別に?」
失くすものなんかとっくに失くしてる。
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