クナイを手にする。
大人用のそれは、ナルトにとって少しばかり大きい。
それをテマリに持たせて、自分の喉笛を指して言う。
「俺を殺してくれる?」
テマリはため息ともつかないような息を吐く。
「いきなり何を言うかと思えば」
「いきなりじゃないってば。物心ついた時からずっと悩んでいたんだ」
「どこまでも我愛羅と対象にある奴だな。同じ化け物なのにこの差はなんだ?」
化け物という言葉が、なぜだかそんなに不快ではなかった。
それはきっとテマリが化け物という言葉を理解していて、器である二人には本気で言っていないからだろう。
ナルトは少しだけ笑うと手を離した。
テマリはそれを手にしたまま。
化け物と呼ばれた少年と、彼と似た少年を弟に持つ少女と。
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隣からため息が聞こえた。
「あーあ。なんでナルトが私達の上の学年なのよ」
そう言ったのはテンテン。
それは質問ではなく、ただの愚痴だ。彼女はとうに理由を知っている。
ナルトはなにかを言いかけて、それは気合に消された。
並んだ二人の前ではネジとリーが修行をしていた。
この二人もナルトのことを理解していた。
ナルトはさっき言いかけた言葉を引っ込める。
「十一になるころには同じクラスになれるって」
その来年は無理だけど、なんてことはもちろん言わない。
彼等とは偶然保健室で出会ってからつるんでいる。
同じ学年の子とはなじめず休み時間はこうして四人で過ごしていた。
「だいたいおかしいわよ。わざと落第するなんて。なんのための飛び級制度よ、まったく」
「でもいいこともあるってばよ。テンテンたちと同じクラスになれるんだからさ」
でも、その来年は記憶操作をしておかなくてはならない。
それまでの期間限定の友達。
そう思うと少しだけさびしかった。
アカデミー時代は、この三人とのほうが仲良かったり。
念願の忍者になれた代償は自分の中に九尾がいると知らされることだった。
いままでの理不尽の全てを納得した。
そして感じたのは、仕打ちに対しての怒りではなく、もし封印が解けてしまった場合自分はどうなるのだろうという恐怖だった。
強くなるしかない。
本能的にそう感じた。
だから班決めの時、クラスでは上位成績者である二人と同じになれたことは心から喜ばしかった。
火影になれなくていい。
皆に認められなくてもいい。
ただ自分を守れるほどの強さを。
強くないスレナルトのスレ始まり。
01.始まり(ナルト)
02.続かない日々(ナルトテンテン)
03.手に余る(ナルトテマリ)
04 休み時間(いのナルト)
05.最後の筆(ナルトテマリ)
06.ため息(ナルト)
07.音のない会話(カンクロウナルト)
08.底に手を伸ばしてくれた少女(ナルトヒナタ)
09.助けてなんて最後に言ったのはいつだったか(ナルトテマリカンクロウ)
10 笛
11.奪う行為(我愛羅ナルト)
12.風影(風影四代目火影三代目)
13 清
14 鎖
15 国
16.風の源(テマリいの)
17.火影になりたがった少年(イルカナルト)
18.光にはなれない私達だから(いのチョウジ)
19.疑いもせず(ナルトテマリ)
20 門
21 飛
22.お手並み(アスマナルト)
23.日向の令嬢(ハナビネジ)
24 装
25 仮
26.木の葉という里(アヤメナルト)
27.雑用(ナルトいの)
28.太陽が昇る頃(ナルトテマリ)
29 鍵
30.慣れっこ(いのナルト)
31.それだけは本当(ヒナタナルト)
32.同じ髪同じ闇(テマリナルト)
33.朱い印(シカマルナルト)
34 箱
35.喫水線(ナルト三代目)
36.国境の君たちへ(ナルトテマリカンクロウ)
37 竹
38.止まない衝動(ナルトテマリ)
39.未だ来ない(ナルトテンテン)
40.末っこ(テマリカンクロウ我愛羅)
41.伝書鳩(サスケナルト)
42.染まらない白(ヒナタ白)
43.報告書(ナルト)
44.双方同意(サクラいの)
45 型
46.罪悪感(ナルト三代目)
47.救世主(九尾ナルト)
48 辛
49.まるで幸せに似た(ナルトいの)
50.半分(ナルトテマリ)
一文字御題/Air.