小さい頃かくれんぼをした時、よく木に登った。
視線より一段低いところや高いところにいるとみつかりにくい、というのは里の者からすでに学んでおり、アカデミーでのかくれんぼの成績は一番だった。
今木の上には二人の人間がいる。
そのすぐ下をナルトが通り抜けていった。
こちらは鬼ごっこ。
鬼は木の葉の里の大人だ。
「楽しいのか?」
木の上の人物、テマリがいう。
「まさか」
そう答えたのはナルトだ。
ちなみにいたずらをして、駆け回っているもう一人の自分は影分身である。
テマリはつまらなさそうに。
「なんだ。木の葉では忍びに子供らしさが求められるのか?」
「木の葉がじゃないよ。子供に子供らしさを求めるのはいつも大人だ。砂の里だってそうだろ?」
テマリがなにも返してくれないので、ナルトはちらりとそちらをみやる。
目が合うと肩をすくめてみせた。
「冗談だってばよ」
笑いもせず、テマリは訊ねる。
「なぜこんなことをするんだ?」
「目に見える悪ガキほうが安心できるんだよ。みんな」
「うずまきも?」
「そう。公共の場で悪意をぶつけるのは難しいからね」
テマリが見ている前で、影分身のナルトは盛大に転んだ。
飛び掛る大人を見ながら、ナルトはほんの少しだけ楽しそうに笑って。
「えった」
騙されてるよ。
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