どうして暗部名を持ってないんだ?
読唇術と暗号を組み合わせて、そう言ったのはカンクロウ。
ここは風の里。
変化をせずともナルトを知るものは少ない。
変わりに風影の息子であるカンクロウが好奇心の目に晒されている。
ナルトは首を傾げてみせる。
本気ではないくせに。
カンクロウこそ、名に意味を持たせるほどロマンチストではない。
だが。
「呼ぶときに困るじゃん?」
それは音に出して訊いた。
「そっちの任務の時はいつも単独行動だから」
「あーなるほど」
「……大体」
俺たちに名乗る名前なんて本来必要ないはずなんだよ。
うんざりした言い方。
ビンゴブックに暗部名が記載されているカンクロウにとって、わからない話ではない。
二人は雑踏を見つめる。
そのままの格好でナルトが確認するかのように呟く。
「来た?」
カンクロウは普通の人には見えない、張り巡らされたチャクラの糸を辿り情報を読み取る。
まだ、ナルトの言うその気配は感じ取れない。
しばらくして包囲網の片隅に、よく知った姉のチャクラを見つけた。
スレナルトスレ砂続き。
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