試合開始の音が鳴った。
短くなった髪をつまんでみて、やっぱりバカなことをしたかな、なんていのは思う。
視線はテマリとテンテンの試合に向いていて、そのまま柵によりかかるように体重をかけた。
隣にはチョウジがいる。
めずらしくお菓子を食べていない彼もまた、目の前の試合を眺めている。
「それって同情?」
視線すら交わさない会話。
みんなの視線は試合に向いていて、誰も聞いてやしないけれど、どきりとした。
「どういうこと?」
「いのの心転身の術が、さくらなんかにやぶれるわけないでしょ」
うるさい沈黙。
砂のテマリというやつは結構できるな、なんてぼんやりとした思考で思う。
言葉を選びながら、いのは答える。
「……だって、もったいないでしょ」
どこかで言ったことのあるようなセリフだと自分でも思った。
「あの子は強くなる。それも私達のように闇に飲まれずにね」
お互いの肩に刻まれた烙印。
いのは自分のそれを指でなぞった。
チョウジはため息をつく。
「あーあ。いのがそうやって負けるんだったらボクも負けようかな」
「なーに言ってるのよ。あんたは本戦行ってもおしいものなんてなにもないでしょ」
「だってめんどうくさいもん。いのが受からなかった試験にボクが受かるわけないでしょ」
「それは……」
そしてアカデミーでの成績を考える。
いのは強い。けれどバカにされることは自分が許せないから、せめて下忍レベルでの一番の成績を維持している。
それに対してチョウジは強さを隠しきれているのだ。
今度はいのがため息をつく。
「好きにすれば?」
初のナルト以外のスレ。
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