ナルトは先日付けで暗部になったばかりだった。
初任務はアカデミー内の調査と名家の生徒達の護衛。
「でもどうやって入ることにすればいい? 俺はまだ四歳だ」
アカデミーに年齢制限はないとはいえ、平均入学年齢より二歳も年下である。
器があまり優秀すぎても畏怖の対象になってしまう。
畏怖があれば混乱が起き、里に混乱が起きれば一番困るのは――本人達だろうに。
それでも育て親である三代目がいろいろと面倒をこうむることは目に見えている。
だからナルトは実力を誇示しない。それが九尾のおかげでもせいでもなんでもなく、努力による代物だとしても。
返事はなかなか返ってこない。
ナルトは一つの可能性に思い当たり、おそるおそると訊ねた。
「もしかして……じっちゃんそこまで考えてなかった?」
三代目はがっくりと肩を落とす。
「お主が四つの子供に見えないせいじゃ」
「俺のせいかよ!」
ナルトはふと考える。
初任務が不戦敗に終わるのは悲しい。
「じゃあさ、監視ってことでどうだ?」
ナルトは淡々と説明を始める。
家の中で虫を見つけてしまったら目で追ってないと安心できないように、危険なものは目の届く範囲に置くのが一番安心できる。
その心理を利用して、そういう噂を先に流しておいてから入学させてはどうか。
けして優秀だからじゃなく、九尾の器だから。
「それでいいのか?」
自分の境遇さえも利用してしまおうというそれに三代目は尊敬と悲しみの念を抱いた。
「なーにをいまさら。そんなに俺がかわいそうなら初めから封印しなけりゃよかったんだ」
けらけらと笑う。
「そんなの嫌だけどね。今の自分でなくなってしまうのは」
背負うモノ。バッカみてえ。
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