中忍試験の本選はもうすぐだというのに、彼女の服は汚れ一つついてなく、つまり特訓をしている様子がまったく感じられなかった。
「強くなりたいのか?」
泥と汗にまみれ、チャクラをほとんど使い果たして無様な格好で地面に転がっているナルトを見おろしながら、彼女が言う。
答える義務も気力もないので黙っていると、彼女は言葉を続けた。
「人は闇を知って強くなるのだから、強いことは威張れることじゃない」
彼女のセリフは淡々としていて、まるでひとり言のようで。
「それ、俺に言ってる?」
ようやくそれだけを言った。
彼女は笑みを顔に貼り付けると、半分くらいはと答える。
残りの半分はきっと彼女自身。ひとり言にも聞こえる話し方なのはそのせいだ。
風影の娘と器の少年の、強さについての考察。
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